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アメリカ人の昆虫食ビジネス

2011年5月、当時シカゴ大学の2年生のMatthew Krisiloffさん(19)を中心とした5名によって設立されたEntom Foods社が、シカゴ大学の学内ビジネスコンペティションで優勝し、1万ドルの助成金を獲得した

そのニュース記事
https://caps.uchicago.edu/cci/2011innovation_winners.shtml
http://www.nbcchicago.com/blogs/inc-well/Insect-Meat-Plan-Earns-Students-10K-121184549.html
http://timeoutchicago.com/arts-culture/14953261/the-man-who-wants-you-to-eat-insects
http://www.nytimes.com/2011/08/21/us/21cncinsects.html?_r=1
http://www.uchicago.edu/features/20111003_bugs/#.Tond3qxgz5E.twitter

今回は、以上のニュース記事をかいつまんで、意訳しながら紹介しようと思う。

<Entom Foods社の目的>
・昆虫肉(insect meat)を生産、販売するビジネスをスタートすること。(ちゃんと営利目的で)
→昆虫肉は魅力的で、型にはまらない、持続的な食料である。

・西洋諸国で昆虫食の開発をすることによって、第三世界での食生活に影響を与えること。同時に、西洋諸国における食生活をより無駄がないものに変えること。
→第三世界の人々は西洋化の波に飲まれ、昆虫食慣行を含む土着の食慣行を捨てつつある。もし我々西洋人が昆虫食慣行を見直し、第三世界の人々に「君たちの持つ昆虫食慣行は環境にやさしくて素晴らしいものなのだよ。」と訴えていれば、彼らも土着の昆虫食慣行を受け入れ、それを発展させていくことになるだろう。

<Entom Foods社が企む事業内容>
Entom Foods社は、高圧処理機(エビ殻の除去などに利用されているらしい)を用いて、コオロギの脚や翅、触覚などの外骨格をすべて除去して昆虫肉だけを取り出し、それをcutlet(ミンチにして揚げたもの?)や、ハンバーガーの具に加工し、販売する予定だ。
コオロギの他にも、バッタ、ミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)に注目している。

<獲得資金を利用して、行ったこと>
オランダのWageningen大学に視察に行き、そこでvan Huis教授から助言を受けた。

<Krisiloffさんの発言>
・従来の家畜は世界で生産されている穀物の70%を消費している。もったいない。それに比べて昆虫は生産効率が高く、ウシやブタ、ニワトリの代替品になるのではないか。
・昆虫は安い。コオロギ75匹でたった1ドル、ミールワーム75匹ではたった10セント。経済的である。
・社会的なマイナスイメージを取り除くためには、昆虫の外骨格を除去することが必要。西洋文化においては目、翅、脚が嫌悪感(disgust)を生む原因となっている。これらを取り除けば、昆虫はもっと美味しく、クリーンな状態になる。鶏肉のように。もしくはむきえびのように。

<van Huis教授の発言>
・昆虫はウシやブタ、ニワトリよりも生産効率が高く、温室効果ガス発生量も少ない。
・メタンは1/10、二酸化炭素は1/300しか排出しない。
・多くの食用昆虫は、牛肉と同程度のタンパク質、鉄分、ビタミンを有し、脂肪は少ない。


これら情報のソースはすべて前記のニュースサイトであるため情報量が少なく、Entom Foods社が具体的にどのような計画を持っているのかわからない。

一応、同社のホームページが存在するが、ずっとunder constructionである。
http://entomfoods.com/

計画の詳細も公表されていない。

1万ドルという割と大きな予算をコンペで勝ち取っておきながら、1年経った今も続報が無い

上記の記事を読んだだけでは、彼らの計画は稚拙であるように感じてしまう。
(昆虫は環境にやさしいから食べろ、形をなくしてしまえば食べられるだろ、と言っているだけ)

大きなコンペで優勝(決勝では26チームと競った)したからには、きっと素晴らしいビジョンがあったはずなのに…

私はそこが知りたい。


一方、アメリカにはHotlix社という昆虫菓子を生産、販売しているメーカーがある。
http://www.hotlix.com/

ここでは、以下のラインナップを揃えている。
・Worm Candy(ミールワームキャンディ)
・Cricket Candy(コオロギキャンディ)
・Scorpion Candy(サソリキャンディ)
・Ant Candy(アリキャンディ)
・Butterfly Candy(チョウキャンディ)
・Larvets(ミールワームスナック)
・Crickettes(コオロギスナック)
・Chocolate Insects(虫チョコ)

昆虫を姿形そのままお菓子にして、(たぶん)そこそこの売れ行きを持っている。


Hotlix社が生き残っているのは、昆虫を姿形のまま商品化しているからではないだろうか。

今、人々が求めているのはエコフードとしての昆虫ではなく、ゲテモノ食としての昆虫なのではないか。

昆虫の姿形が無くなれば(粉末にしてしまえば)みんな食べるようになる、という昨今の風潮は非常に乱暴な主張だと私は思う。


次回は、先述のvan Huis教授が在籍するオランダワーへニンゲン大の研究を紹介する。

また、追々「ミンチや粉末にすれば昆虫を食べるようになるのか?」ということについて考えていきたい。

<三橋亮太>
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