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カイコの味 七変化

難しい話は置いておいて、今回はカイコの味の変化についてです。

カイコが比較的一般的な食用昆虫であることは皆さんご存知だと思います。
例えば、人気漫画「宇宙兄弟」では、宇宙食としてのカイコが取り上げられています。
宇宙兄弟 「宇宙兄弟」第8巻134ページ
ここでカイコの味について「味はエビっぽくて フライにすればおいしい」とあります。
これは本当なのでしょうか?

このシーンをよく読み込んでみると、
・食べているのは幼虫?蛹?成虫?(たぶん蛹です)
・宇宙で揚げ物したの!?(絶対無理でしょう)
というところが気になりました。

というのも、カイコは幼虫、蛹、成虫とそれぞれの生育ステージごとに食味が異なり、さらに調理法によっても大きく食味が変化するからです。
そこで主観的ながら、カイコの味をまとめてみました。


幼虫の味変化
カイコ幼虫 味まとめのコピー

幼虫は食べるとするならば、3令くらいまでです。
それ以上に成長してしまうと、絹糸腺(絹を作る器官)が発達してしまうからです。
この絹糸腺が熱をかけなければネチョネチョして歯にくっつき、熱をかけて乾燥させれば硬くて食べられない!
どうしてもこの絹糸腺は食用に向きません。

また、腸内につまった桑葉の未消化物も決しておいしいものではありませんし、気分もよくありません。
市販の人工飼料で飼育した場合、組成が不明なので腸内の未消化物は食べない方がいいです。

幼虫は全般的に枝豆のような風味がします。
蒸しただけだど、さらに雑巾のような臭みも加わります。

腸の内容物と絹糸腺をすべてしごき出したあと、フリーズドライや熱乾燥させると割と美味しく食べられます。
フリーズドライの場合、無味無臭~枝豆風味でサクサクの食感だけを楽しむ。
熱乾燥の場合、エビに似た香りが出てくるので、塩を振りかけておつまみに。すごく硬いですが…

まとめると、あまり美味しくないし食べごたえも無いし、下処理が大変なので食用には向かない、という感じです。


蛹(さなぎ)の味変化
カイコ蛹 風味のコピー
蛹は味の変化が大きいです。
生、蒸し、茹ででは豆乳やダイズに似た香りがします。
生だとトロトロの食感、蒸し、茹でだとスフレのようなホクホクした食感になります。
エビのような風味は一切せず、植物的な風味がします。

しかし、油で揚げたり高温で乾燥させるとエビのような香りが出てきます。
特に高温で乾燥させた時の香りは強烈です。
エビの香りを最大限まで強くしてさらに油臭さを加えたような匂いで、数メートルの距離でもはっきりと匂ってきます。
ただ、こういんもんだと割りきってしまえばクセのある美味しい香りにもなります。
ビールのおつまみに合う、と試食会では好評をいただいています。

「宇宙兄弟」では、カイコ蛹をフライにして「味はエビっぽい」と表現していましたが、実際は違うんじゃないかなと思います。
フライや天ぷらなど、短時間の加熱ではまだ植物的な風味が強く、食感も「プリプリ」ではなく「ホクホク」です。
あと、生のまま揚げたら爆発します。

オススメは蛹を一度茹でて、それをミキサーでペーストにして、生地に練り込んで、焼くなり揚げるなりすることです。
甘い味付けで焼いてクッキーにすれば、大豆やナッツの風味が活き、ヘルシーな味わいになります。
塩味をつけて揚げ煎餅にすれば、臭みがマスクされ、程よいエビの風味が活き、おつまみにぴったりな美味しさになります。

蛹は調理法によって色々な用途に使うことができます。
カイコを食べるならやっぱり蛹です。


成虫の味変化
成虫 味のコピー
成虫は基本的に食用に向きません。
生乾きの雑巾のような臭いがしますし、食べるためには鱗粉を除去する必要があります。


おまけ
DSCF1858.jpg終令幼虫
DSCF1869.jpg幼虫を茹でると、部分的に赤くなったり黄色くなる。(甲殻類と同じアスタキサンチンの効果)
DSCF1874.jpg幼虫の腸を除去した後、フリーズドライ。サクサクだけど味気ない
DSCF1877.jpg幼虫をそのまま熱乾燥。エビのような香りがする。腸の内容物と絹糸腺が硬くて食べられない
DSCF0590.jpg生のさなぎ
ペースト2こちらは茹でても変化なし
ペースト3ペーストにして外皮を除くと真っ白
カイコ大学芋・メス大学芋。茹でた蛹は甘い味付けに合う
乾燥熱乾燥させると、縮んでエビのような強烈な香りを発する
シルクゼリー2シルクゼリー。実はシルクも手間ひまかければ食べられる。


生育ステージの変化に伴う食味の変化については当研究会の佐伯氏も詳しくまとめています。
味見;コガタスズメバチの味の変遷
味見;トノサマバッタババア
ぜひ、ご覧ください。

<三橋亮太>
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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

コオロギバーを食べてみた(第14回勉強会報告)

9月8日、東京大学にて第14回勉強会が執り行われました。
参加者は6名とやや寂しい勉強会ではありましたが、前途有望な学部生も1人見学に来てくれて、各自にとって実りある勉強会となりました。

今回、アメリカ産のコオロギバーの試食もメンバー全員で行いました。
(コオロギバー入手の詳細については、「海外の昆虫食ビジネス part2」をご覧ください。)


コオロギバーは2種類の味があります。

1. Chaco Bar
コオロギバー4 コオロギバー3

コオロギバー5 コオロギバー6
チャコ(Chaco)はコロンブス以前にアメリカ大陸南西部に住んでいた人々のことだそうで、Chaco Barのレシピはこのチャコの人々の生活史からインスパイアされたそうです。
Chaco Barの主な原材料は(多い順に)デーツ、ピーナッツ、オーツ麦、チョコレート、クルミ、リュウゼツランのシロップ、コオロギパウダーとなっています。
ちなみにコオロギパウダーの含有量は不明です。

Chaco Barの味は簡単に言ってしまえば、デーツ&チョコレート味。
干し柿やレーズンのような濃厚なデーツの風味とカカオの香りが強く、コオロギの風味は一切感じません。
ナッツたっぷりの普通のおいしくて食べごたえのあるチョコナッツバーでした。

2. Thai Bar
コオロギバー1 コオロギバー2
コオロギバー7
これはそのままタイ風のレシピで作ったコオロギバーです。タイは言わずと知れたコオロギ食の聖地ですから、そのタイにあやかってということらしいです。
Thai Barの主な原材料は(多い順に)デーツ、アーモンド、カシューナッツ、コオロギパウダー、ココナッツ、ショウガ、ライムとなっています。

Thai Barの味は簡単に言えばデーツ&ショウガ味。こちらもコオロギの風味は一切感じません。
ですが、表面をよく見るとコオロギの外骨格の破片が見えます。
こちらの方が若干昆虫を食べている感じがするかもしれません。


どちらのコオロギバーも51gで、エネルギーは220kcal。
日本のカロリーメイトと同じくらいのエネルギーです。
コオロギーバーはエナジーバーを謳うだけあって、味付けが濃厚で食べごたえがあって、ホワイトカラーの人がおやつに食べるには少々重いです。

正直、我々E-ismの面々にとっては期待はずれな試食会となってしまいました。
ですが裏を返せば、Chapulの面々は昆虫の風味をしっかりとマスクした商品開発を行ったということ。
昆虫食初心者にとって食べやすいエナジーバーとなっています。
(デーツの風味が苦手な人は苦しいかもしれませんが…)

さて、このコオロギバー、ついに一般販売が始まりました。
http://chapul.com/bars/
12本入り(約1400g)で30.99ドル。日本円で約2400円です。(送料別)
1本あたり200円、カロリーメイト1箱とだいたい同じ値段です。
試しに購入してみてはいかがでしょうか?

<三橋亮太>

テーマ : 栄養
ジャンル : 学問・文化・芸術

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このブログでは、E-ISMのメンバーが昆虫食に関わる色々なことを自由に気軽に書いていきます。

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