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海外の昆虫食ビジネス part2

今回はKickstarterに登場したもう一つの昆虫食プロジェクト"The World's First Cricket Bar"を紹介する。

このプロジェクトはChapulというチームが運営している。
リーダーはPat Crowley氏。
彼はコロラド川のそばで育ち、自然を愛し、現在はアメリカ南西部や世界中を舞台に川のガイドとして生計を立てている。

Pat氏の愛するコロラド川は近年、農業用水の過剰取水によって下流域では水が流れなくなってしまった

地球に存在する淡水資源の92%は農業用水として利用されていると言われている。
そこで自然環境への負荷が小さい昆虫を積極的に動物性タンパク源として利用していくことで、淡水を大量に必要とするウシやブタの生産量を減らし、淡水資源の保全を達成する。
そして、コロラド川の復活を達成すると共に持続可能な未来を築く。

というのが彼のプロジェクトのコンセプトだ。

また、Chapulはコオロギバー事業の利益の10%を水資源の保全に投資することを表明している


Patさんは食用昆虫に注目したきっかけは何だったのだろうか?
TEDで、ワーヘニンゲン大教授Marcel Dicke氏の講演"Why not eat insects?"を観たことがきっかけだと言う。


Pat氏はこの動画を観て、以下のようなコメントをしている。

I started exploring the potential of insect protein as a solution to the overconsumption of freshwater in our industrialized agriculture sector,
農業用水の過剰利用を解決する方法として、私は食用昆虫のタンパク質が利用できる可能性を模索し始めた


また、Pat氏は昆虫食が拒否される理由は心理的な要因にあると断定し、心理的要因だけならば克服することが可能だと考えている。
例えば、"sushi"は1966年にロサンゼルスのリトル東京に輸入され、1975年にニューヨークに"sushi bar"がオープンしてから、短期間でアメリカの人々に定着した。
現在ではアイオワでは50以上、マンハッタンでは700のsushiレストランが存在するほどである。
食用昆虫もsushiと同じようにアメリカの人々に受け入れられる日が来るはずだ。
Pat氏はそう信じている。


さて、ChapulのKickstarterページを見ていこう。


<プロジェクト内容> cricket energy bar(コオロギバー)の世界展開
<募集額> 10,000$
<資金の用途>
7,500$: コオロギバーの原料調達、包装、ラベル作成
1,200$: 原料の粉砕機の調達
500$ : webサイトの機能強化
残り  : Kickstarterへのシステム利用費支払いなど

<投資の見返り>
① 20$ : コオロギバー6本(送料込み)
② 40$ : コオロギバー6本、Tシャツ
③ 75$ : 6オンスコオロギパウダー、コオロギバー2本、Tシャツ
④ 200$ : 名前入りコオロギバー3ダース
⑤ 500$ : 新商品開発のための評議会への参加、"pro deal"資格授与(80%オフでコオロギバーを購入可能)
⑥1500$ : ChapulメンバーでありプロガイドであるPatさんと共に行く、米国内でラフティングツアーに招待。
       交通費以外の費用はすべてChapulが負担する。

<集まった金額(締め切りまで2日を残して)>
13,125$ (達成率131%)
※追記 最終的に16,065$になった。

素晴らしい成果である。
設定金額を達成したので、このプロジェクトは資金を獲得する。

前回の記事で紹介したDonBugitoとの違いは何だろうか?
1. プロジェクトのコンセプトが美しい。
 昆虫を食べて自然を守る。昆虫を食べる意味を明確に感じることができ、寄付もしやすい。
 昆虫食は意識しないとタダのゲテモノ食いで終わってしまうことが非常に多い。
 DonBugitoはその性質が強かった。

2. 見返りにお得感がある。
 20$送料込みでしっかりとした商品6本が買えると思えば、なかなか。
 (しかも一般販売よりも割安になる)
 DonBugitoでは「レシピ、ポストカード、小さい昆虫スナック1袋、ステッカー」となんとも地味なものだった。

3. 資金の用途が明確。
 内訳がしっかりと記載されていて、その金額も妥当に思える。

4. 全世界の人々に関係がある。
 DonBugitoは移動販売車ということで、サンフランシスコ周辺の人々しか関係が無かった。
 しかし、Chapulはネット通販を基盤としているため全世界の人々に関係がある。
 自分が投資することによって事業が成長していく過程を、自分の目で見ることができる。

よく考えられた素晴らしいプロジェクトだと改めて思う。
私も20ドルの寄付をした。
Chapulバーが届いたら、また報告したい。
chapul1.jpg hcapul2.jpg
http://www.kickstarter.com/projects/466721916/the-worlds-first-cricket-barより
※追記 日本からだと30$(国際送料込み)の寄付でコオロギバー6本が受け取れます。

<三橋亮太>
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海外の昆虫食ビジネス part1

今回から2回に分けて、Kickstarterをきっかけとした海外の昆虫食ビジネスの事例を紹介する。

Kickstarterとは、クリエーターがWeb上で資金調達をするためのWebサイトである。

仕組みのおおまかな説明
1. 資金の募集者は、募集する金額、1口あたりの投資額(1$、10$、100$など複数)、期間を設定する。
2. 設定期間中、投資者は投資額を選んで投資の予約をする。
3-1. 設定期間内に投資総額が設定金額を上回れば、投資者の口座から予約した投資額が引き落とされる。
(3-2. 設定金額に満たなければプロジェクト失敗となり、投資者から資金が引き落とされることはない。)
4. 投資者は、募集者から投資額に応じた見返りを受け取る。

詳しくはこちらのブログをご覧いただきたい。
購入と寄付の境界線 ~ Kickstarterに垣間見る境界線のゆらぎ

このKickstarterには、昆虫食に関するプロジェクトが過去2件存在している。


Don Bugito: An Edible Insect Food Business

プロジェクトの発足者はメキシコ出身、アメリカ在住の Monica Martinez さん。
彼女は芸術家であり、工業デザイナーでもある。
Monicaさん個人のホームページ

ホームページから引用(意訳気味)

私ははもともと"where my foods come from (私の食べ物はどこから来るのか)"ということに強い興味をもっていた。
だからウシを自分の庭で飼いたいと考えた。だけど、庭はそんなに広くないからと断念した。
その後も食べ物に関する興味は失われることなく、数年にわたって食べ物を保管する穀物倉庫などのデザインを手がけた。
しかし、そのような仕事では、人々の食料生産に対する考え方を変化させることができたと思ったことは一度も無かった。

そこで、ミールワームの生産を自宅でできたらいいな、と考えた。
そして工業デザイナーとしての本領を発揮して試行錯誤をした結果、機能的なミールワーム飼育ケージ
"WURMHAUS"の開発に成功した。
私にとって、このWURMHAUSを利用した自宅でのミールワーム生産は、都市農業の新しい形であり、食料ならびにタンパク質生産の諸問題を解決素晴らしいアプローチになると思えた

さて、次のチャレンジは、どのようにすればこの食用昆虫を虫を食べたことのない一般の人々に紹介することができるかだ。
そこで私は"Don Bugito"を立ち上げた。
Don Bugitoは路上販売の形態を採用している。
移動販売車を利用することによって、座席を設けたレストランよりも、より多くの人々に利用してもらえると考えたからだ。
また、私にもお客さんにも経済的にやさしく、新しい食品販売に挑戦する人にとって都合がいい。


サンフランシスコでは路上販売のブームもあり、私は2011年のSan Francisco Street Food Festivalでお店をオープンした。
Don Bugitoはベイエリアで信じられないくらいの盛況を博している。
しっかり成長してきているし、今後もみなさんとともに成長していきたい。


ここで登場したWURMHAUSの画像。
wurmhaus1.jpgwurmhaus2.jpg 自宅用ミールワーム生産ユニット。詳細は下記リンクへ。
http://monicamartinez.com/section/188863_Wurm_Haus_Unit_Home_Micro_Farm_2010.html

そしてこれがSan Francisco Street Food Festivalの動画。


Don Bugitoのメインメニュー。
tacos.jpg ミールワームのタコス。

余談だが、Monicaさんはミールワーム飼育ケージを開発しておきながら、昆虫料理として販売する際にはミールワームを購入している
「私は250匹を8ドルで購入しています。本当に安い。」(ソース記事



さて、Don BugitoのKickstarterページ紹介をしたい。
http://www.kickstarter.com/projects/497059094/don-bugito-an-edible-insect-food-business

<募集額> 40,000$(300万円強)
<資金の用途> 移動販売車の購入
<投資の見返り>
① 5$ : レシピ、ポストカード
② 15$ : レシピ、ポストカード、昆虫スナック、ステッカー
③ 30$ : レシピ、ポストカード、昆虫スナック、ステッカー、Tシャツ、webサイトに名前
④ 50$ : 昆虫絵本、Tシャツ、webサイトに名前
⑤ 75$ : 1時間のワークショップ、ステッカー
⑥ 100$ : ④、6オンスのトウガラシソース
⑦ 175$ : ⑥、移動販売車に名前、昆虫料理を食べたという証明書2枚
⑧ 250$ : WURMHAUS、webサイトと移動販売車に名前
⑨ 500$ : 3品コース料理5人前(お店で)、webサイトと移動販売車に名前
⑩ 1000$: タコスパーティ10人前(出張)、webサイトと移動販売車に名前
⑪ 2000$: パーティ50人前(出張)、webサイトと移動販売車に名前

<動画や文書でアピールしているポイント>
昆虫は従来の家畜と比べて廃棄物が少なく、タンパク質が多い。
San Francisco Street Food Festivalでの盛況。

<集まった金額> 9,072$

大失敗である
敗因はなんだろうか。

40,000$の募集額はkickstarterとしては高額であるが、その用途である移動販売車の説明がほとんど無い。
「移動販売車を通じて足を使ってサンフランシスコを中心に昆虫料理を広め、ゆくゆくは世界に広める」ということだけ。
雑さを感じるし、移動販売車のために寄付するというのは夢が広がらないし、面白くない
この雑さと面白みの無さが主な敗因だと思う。

あと、見返りがショボく感じる
15$投資しなきゃ、昆虫料理を食べられない。15$投資しても、昆虫スナックの小袋1つ。
250$のWURMHAUSは若干魅力的だが、高い。
全体的にプレミア感が無い。

今回は30$の投資を申し出た人が最多であった。(詳細はKickstarterのページへ)
Tシャツがもらえるし、自分もそうするだろうなぁと思う。

今回はKickstarterでの失敗例を紹介した。
次回は成功例を紹介する。

<三橋亮太>

アメリカ人の昆虫食ビジネス

2011年5月、当時シカゴ大学の2年生のMatthew Krisiloffさん(19)を中心とした5名によって設立されたEntom Foods社が、シカゴ大学の学内ビジネスコンペティションで優勝し、1万ドルの助成金を獲得した

そのニュース記事
https://caps.uchicago.edu/cci/2011innovation_winners.shtml
http://www.nbcchicago.com/blogs/inc-well/Insect-Meat-Plan-Earns-Students-10K-121184549.html
http://timeoutchicago.com/arts-culture/14953261/the-man-who-wants-you-to-eat-insects
http://www.nytimes.com/2011/08/21/us/21cncinsects.html?_r=1
http://www.uchicago.edu/features/20111003_bugs/#.Tond3qxgz5E.twitter

今回は、以上のニュース記事をかいつまんで、意訳しながら紹介しようと思う。

<Entom Foods社の目的>
・昆虫肉(insect meat)を生産、販売するビジネスをスタートすること。(ちゃんと営利目的で)
→昆虫肉は魅力的で、型にはまらない、持続的な食料である。

・西洋諸国で昆虫食の開発をすることによって、第三世界での食生活に影響を与えること。同時に、西洋諸国における食生活をより無駄がないものに変えること。
→第三世界の人々は西洋化の波に飲まれ、昆虫食慣行を含む土着の食慣行を捨てつつある。もし我々西洋人が昆虫食慣行を見直し、第三世界の人々に「君たちの持つ昆虫食慣行は環境にやさしくて素晴らしいものなのだよ。」と訴えていれば、彼らも土着の昆虫食慣行を受け入れ、それを発展させていくことになるだろう。

<Entom Foods社が企む事業内容>
Entom Foods社は、高圧処理機(エビ殻の除去などに利用されているらしい)を用いて、コオロギの脚や翅、触覚などの外骨格をすべて除去して昆虫肉だけを取り出し、それをcutlet(ミンチにして揚げたもの?)や、ハンバーガーの具に加工し、販売する予定だ。
コオロギの他にも、バッタ、ミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)に注目している。

<獲得資金を利用して、行ったこと>
オランダのWageningen大学に視察に行き、そこでvan Huis教授から助言を受けた。

<Krisiloffさんの発言>
・従来の家畜は世界で生産されている穀物の70%を消費している。もったいない。それに比べて昆虫は生産効率が高く、ウシやブタ、ニワトリの代替品になるのではないか。
・昆虫は安い。コオロギ75匹でたった1ドル、ミールワーム75匹ではたった10セント。経済的である。
・社会的なマイナスイメージを取り除くためには、昆虫の外骨格を除去することが必要。西洋文化においては目、翅、脚が嫌悪感(disgust)を生む原因となっている。これらを取り除けば、昆虫はもっと美味しく、クリーンな状態になる。鶏肉のように。もしくはむきえびのように。

<van Huis教授の発言>
・昆虫はウシやブタ、ニワトリよりも生産効率が高く、温室効果ガス発生量も少ない。
・メタンは1/10、二酸化炭素は1/300しか排出しない。
・多くの食用昆虫は、牛肉と同程度のタンパク質、鉄分、ビタミンを有し、脂肪は少ない。


これら情報のソースはすべて前記のニュースサイトであるため情報量が少なく、Entom Foods社が具体的にどのような計画を持っているのかわからない。

一応、同社のホームページが存在するが、ずっとunder constructionである。
http://entomfoods.com/

計画の詳細も公表されていない。

1万ドルという割と大きな予算をコンペで勝ち取っておきながら、1年経った今も続報が無い

上記の記事を読んだだけでは、彼らの計画は稚拙であるように感じてしまう。
(昆虫は環境にやさしいから食べろ、形をなくしてしまえば食べられるだろ、と言っているだけ)

大きなコンペで優勝(決勝では26チームと競った)したからには、きっと素晴らしいビジョンがあったはずなのに…

私はそこが知りたい。


一方、アメリカにはHotlix社という昆虫菓子を生産、販売しているメーカーがある。
http://www.hotlix.com/

ここでは、以下のラインナップを揃えている。
・Worm Candy(ミールワームキャンディ)
・Cricket Candy(コオロギキャンディ)
・Scorpion Candy(サソリキャンディ)
・Ant Candy(アリキャンディ)
・Butterfly Candy(チョウキャンディ)
・Larvets(ミールワームスナック)
・Crickettes(コオロギスナック)
・Chocolate Insects(虫チョコ)

昆虫を姿形そのままお菓子にして、(たぶん)そこそこの売れ行きを持っている。


Hotlix社が生き残っているのは、昆虫を姿形のまま商品化しているからではないだろうか。

今、人々が求めているのはエコフードとしての昆虫ではなく、ゲテモノ食としての昆虫なのではないか。

昆虫の姿形が無くなれば(粉末にしてしまえば)みんな食べるようになる、という昨今の風潮は非常に乱暴な主張だと私は思う。


次回は、先述のvan Huis教授が在籍するオランダワーへニンゲン大の研究を紹介する。

また、追々「ミンチや粉末にすれば昆虫を食べるようになるのか?」ということについて考えていきたい。

<三橋亮太>
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Author:E-ISM
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(E-ISM ;Edible Insect Science Meeting)です。
このブログでは、E-ISMのメンバーが昆虫食に関わる色々なことを自由に気軽に書いていきます。

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